背面飛行とは?旅客機は背面飛行できるの?

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ブルーインパルスなどでおなじみの、
アクロバティックな飛行である「背面飛行」。

ですが、この飛行方法、
カッコいいだけではないんです。

背面飛行なんて想定していない場所で、
パイロットのスイッチ誤操作によって起きることも。

実際、これまでにどのようなトラブルが起きたのでしょうか?

戦闘機の背面飛行というと、遠い世界の話のように感じますが、
これが旅客機だったらどうでしょう。

今日は、私たちと密接な関係にある、
主に旅客機の背面飛行についてご紹介します!

背面飛行とは?その原理について

背面飛行とは?旅客機は背面飛行できるの?1

「背面飛行」とは、飛行機の飛び方の一種です。

本来、飛行機の屋根となる上の部分が下に、
地面となる下の部分が上に……と、
上下がひっくり返った状態で飛ぶことです。

あえてそういう飛び方をして、観ている人を楽しませることもありますが、
その場合、アクロバット飛行専用の飛行機を使っています。

ですが、これ、普通の飛行機でもできる飛行方法なのです。

いったい、どのような原理がはたらいているのでしょうか?

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飛行機が飛ぶのは・・・
飛行機の翼が、その下にある空気に対し、下向きの力を与えているからです。
空気を、下へ下へと押しているようなイメージです。

ですが、空気も負けちゃあいられません。
空気は、翼からの力への反動で、上へ上へとはたらきます。

そのような、空気からの力によって、翼は上向きに動いていきます。
これを「揚力(ようりょく)」といいます。

ここで、飛行機の姿勢を調節し、少しだけ傾けます。
そのまま空気に下向きの力を与えると、
空気が飛行機の翼を超えたところまで力をはたらかせます。
 
そうすると、飛行機のわずかな傾きが、
どんどん大きな傾きになっていきます。

そうして、背面飛行が起こるのです。

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ちなみに、旅客機でも上のような原理で
背面飛行をすることができます

海外のテストパイロットが(無許可で)
それを証明した事実があります。

ですが、旅客機の背面飛行の安全性は、
全くといってもいいほど保障されていません。

原理的に可能でも、もともと旅客機は通常運行の1つとして、
背面飛行を想定して作られてませんからね(当たり前ですが)。

(※緊急時のための背面飛行、垂直落下の想定の上で
 設計されているという説もあります。)

失敗すれば空中分解は免れられませんし、
上手くいっても短時間というのが通説です。

背面飛行とは?旅客機は背面飛行できるの?2

旅客機の背面飛行はかなり危険な綱渡りのようなものであることが
お分かりいただけたでしょうか。

でも、これが日本の航空会社で起こってしまったんですよ!

しかも、遠い過去のことではありません。

2011年に、ANAが実際に起こした背面飛行

2011年の9月に、ANAが背面飛行を起こしてしまいました。
 
これは旅客機で起きたことでした。つまり、
背面飛行のための飛行機内部のシステムが十分に整えられていないのです。
 
この件では、パイロットも乗客も、みんな命を落とさずにすみました。
客室乗務員が多少ケガをしたそうですが、なんとか着陸できました。

だからといって、当然この背面飛行を
なかったことにするわけにはいきません。
 
3年後の2014年9月、
ANAはこのトラブルについての調査報告書を公表しました。

その調査報告書の内容を、以下でご紹介します。

背面飛行とは?旅客機は背面飛行できるの?3

ANAが旅客機で背面飛行を起こした原因

このトラブルの原因は、副操縦士(副パイロット)が
スイッチを誤って押し間違えたことです。

ドアの鍵を開けるというスイッチと、
飛行機の飛んでいく方向を変えるというスイッチがあったようです。

どちらも、ボタンというよりはひねる動作をするスイッチでした。

似たようなつくりになっている、2つのスイッチ。

本当ならドアを開けなければならない時に、
誤って方向転換スイッチを操作し、
飛行機が急降下してしまったのです。

それではなぜ、副操縦士はスイッチを押し間違えてしまったのでしょうか?

副操縦士が誤操作した理由

それは、その副操縦士が、
前まで乗っていた旧式機の記憶でスイッチを押したからです。

しっかりと確認し操作するという、
当たり前だけど大切なことが抜け落ちていたのです。

その結果、その飛行機は130度以上傾くこととなりました。
最高、131.7度もの傾きをみせたそうです。

背面飛行とは?旅客機は背面飛行できるの?4

その飛行機が飛んでいる時間帯は、

そのため、乗客は
飛行機が背面飛行していることに気づかなかったのでは、
とされています。

   ※背面飛行中、重力の関係上、乗っている人は
    ほぼ逆さまになっていることに気づかないようです。
    明るければ天地が逆になっていることに気づいたかもしれません。

また、副操縦士が本来操作しなければ
ならなかったドア開閉のスイッチを操作しなかったため、
本操縦士はコックピットに戻ることができませんでした

副操縦士が、背面飛行をしていると気づくまでに14秒かかりました。

その後、3分45秒かけて体勢を立て直すことができたそうです。

そうなるまでに、機体は1900メートルもの距離を急降下するなど、
決して安全とは言えない状態になっていました。

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この背面飛行トラブルの後・・・

もし、
スイッチの誤操作をしていなかったら?
副操縦士がもっと早くに機体の異常状態に気づけていたら?
そして、スムーズに適切な行動をとることができていたら?

このどれかで問題がなければ、
急降下をすることはなかったでしょう。
 
安全に全員が着陸できたのは喜ばしいことですが、
空中分解する可能性もあったと聞くと
結果オーライと楽観視はできませんよね。

副操縦士のミスの重なりの原因や、
副操縦士に対する教育がきちんとできていたのだろうか、
という疑問など、さまざまなことが考えられます。

背面飛行とは?旅客機は背面飛行できるの?5

気になる副操縦士の処分

ですが、この背面飛行をする原因である副操縦士の処分は……。

航空会社は責任がどれだけあったのか、と問いただすというよりも、
背面飛行が起きた操作の原因などを明らかにすること
重視する傾向にあります。

ANAの発表で、副操縦士の処分について触れられていない以上、
この副操縦士は
今後もパイロットを名乗り続けていく可能性が高い
関係者は見ています。

改めて、新機体の感覚を身につけるための
指導をするのは良いことです。

ですが・・・
とんでもない大事故を起こしかねない重大なミスに関しては
責任を求めるべきなのではないか?と私は考えます。

そうでなければ、他のパイロットへの示しが
つかないのではないでしょうか!

それに、ネット上の多くの声も、
副操縦士に関しては楽観的な見方よりも、
厳しい意見を持った人の方がはるかに多いのです。

関係者によると、この旅客機がほぼ背面飛行の状態に陥り、
大事故にいたらなかったのは奇跡ということだそうで。

副操縦士が自分で機体の体勢を立て直したので、
その点は技術的に評価を受けているようですが・・・。

奇跡とまでいうと、
空中分解 or 墜落していても全くおかしくなかったというより、
むしろ墜落していた可能性の方が高いということです。

日本の航空会社において、過去最悪の飛行機事故といえば、
1985年のJAL123便の墜落事故です。

今となっては1985年代の飛行機ならシステム、技術的にも
仕方ない部分もあるかと思う部分はありますが、
これに並ぶほどの大事故になっていたかもしれないのです。

今回のは機械的な故障ではなく、明らかな人為的ミスですが、
近代の、日本の航空会社だから安全ということは
全く言い切れないということになってしまいました。

人がスイッチの操作を間違えないことはもちろんですが・・・。

仮に人が間違えても機体の状況的に即アラートが鳴るか、
もう一度スイッチ操作をしないと動作しない、
というようなシステム的な対策も行っていただきたいところですね!

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1件のコメント

  • crow

    真偽は定かではありませんが、以前テレビで、一応旅客機も
    ボーイング社の出荷段階で、性能テストの一環で背面飛行をするそうです。
    とはいえ戦闘機等と異なり給油ポンプが背面飛行用に設計されていないため、
    長時間の背面飛行は仕組み上できないんだそうです。
    想定されていない使い方ですが、マシン的にはできなくもない、というタイプの操縦のようですね。

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